職場の人間関係に疲弊するあなたへ。身体から紐解く「繰り返されるパターン」
これまでこのブログでは、トラウマケアや神経系の仕組みなど、主に「理論やアプローチ」についてお伝えしてきました。
「身体から働きかけることで、なぜ心が変わるのか」という土台をご理解いただいた上で、今回は一歩進んで、「実際のセッションでは、身体を通してどのような変化が起きていくのか」という具体的なプロセスをシェアしたいと思います。
理論だけでは見えにくい、身体感覚が導く変化のリアリティを感じていただけるよう、これまでお受けしてきた複数のケースを統合し、一つの物語(事例)としてまとめました。
まずその第1回目として、職場の人間関係に悩み、どうしても「いつものパターン」から抜け出せないと感じている方へ。身体の底から変わっていくためのヒントになれば幸いです。
「断れない自分」と攻撃的な同僚
私の元へ来られたAさん(仮名)は、職場の人間関係に深く悩まされていました。
断れないまま山のように振られる仕事。そして、自分にだけ攻撃を向けてくる同僚の存在。
状況を説明し、話を聞いてもらい、自分の気持ちを整理していくカウンセリングでは、現実はなかなか変わりません。私はAさんと、あえて状況の説明ではなく「身体の反応」から見ていくことにしました。
「安全」を脳に教え込む3ヶ月
まず取り組んだのは、徹底的な「安全感」の構築です。最初の3回ほどは、身体の中に少しでもホッとできる感覚がないか、一緒に丁寧に探していきました。
私はAさんに、「最初の3ヶ月は、ほぼ毎週のセッションで安心感の土台を作り、安心感を得ることが当たり前となっていくこと」をお勧めしました。
日本では月1回や隔週のカウンセリングが多いですが、それではどうしても「その場のガス抜き」になりがちです。脳が「新しい安全な身体の使い方」を学習し、それが当たり前になるためには、筋トレのような反復期間が不可欠だからです。
[コラム:なぜ「毎週」なのか?]
脳の神経系は、放っておくと慣れ親しんだ「危険モード」へ戻ろうとします。 脳にとって、たとえ苦しくても「いつも通りの危険」の方が、未知の「安心」よりも予測がついて安心だと誤解してしまうのです。
なぜなら、ふと安心を感じそうになると、「油断したら、また予期せぬ悪いことが起こるのでは?」という防衛本能(思考)がブレーキをかけてしまうからです。
この古いブレーキを外し、新しい「安全な回路」を身体に定着させるには、最初の3ヶ月、毎週振り返りながら「安心しても大丈夫なんだ」という実感を積み重ねる時間が、変化の決定的な鍵を握ります。
身体が導いた「起点」と、代々続くパターン
セッションで「安全な感覚」という土台が育った頃、変化が起きました。
攻撃的な人を前にした時の身体の反応を丁寧に追いかけていくと、Aさんはふと「起点」となる出来事に辿り着いたのです。
それは学校での記憶、誠実な両親との関係性でした。さらに深く見ていくと、それはAさん個人だけの問題ではなく、親の代から受け継がれてきた「家系としての生き残り戦略」であったことが、身体反応を通して見えてきました。
ここで、SE(ソマティック・エクスペリエンシング)やファミリーコンステレーションの手法を用い、その絡まり合った糸を一本ずつ紐解いていきました。
脳幹レベルでの「シミュレーション」
「安全な状態」と「不安な状態」の両方を身体で行ったり来たりしながら、脳幹へ直接働きかけます。
「あの時は必要だったけれど、今はもう、そのポジションを取らなくても安全なんだ」
そう脳が本能レベルで気づけるよう、セッションでは実際の職場の場面を想定したシミュレーションも行いました。Aさんには、セッションで掴んだ「安全の感覚」を、日常で1日10秒でもいいから思い出すようお願いしました。
最初は毎日できなくても大丈夫。だからこそ、毎週ここで「できた・できなかった」を一緒に確認し、微調整していくことが大切なのです。
自律神経が整い、選択肢が増える
脳の根っこが「安全」を理解すると、自律神経が落ち着きます。
Aさんはその後、同じ職場の場面でも動揺しなくなりました。脳が「危険だ!」という過剰な指令を出さなくなったため、自分の境界線を保ち、落ち着いて別の行動(断る、距離を置く)を選択できるようになったのです。
無理に自分を変えようとするのではなく、身体の土台から整えていく。そんなアプローチを、私は大切にしています。
まずは今のあなたの身体の中に安心できる感覚を、一緒に見つけてみませんか?
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