ソマティックは「内側の感覚」と言われています。
この記事では、内側の感覚とは何かについて、そしてそれをセラピーでどのように扱うのか解説してみます。
内側の感覚とは?
普段私たちは、体に不具合を感じない限り、自分の体の感覚に意識を向けることはありません。
例えば、
「痛い」「痺れている」「痒い」「暑い」「熱い」「寒い」「冷たい」
といったときに、私たちは自分の体の感覚に気づきます。
それ以外にも意識を向けると、
「美味しい」「心地いい」「安心する」といったポジティブな感覚があります。
しかし、それらもは意識してみないと普段見過ごされがちです。
さらに感覚を研ぎ澄ませてみると、
「痛い」「暑い」と言った不快な感覚にも、それぞれ感覚が刻一刻と変化していることに気づきます。
痛いにも、ズキズキ、ガンガンするとき。そしてそういった感覚の瞬間の合間にそれが一瞬静まる瞬間。いろんな場面ごとに感覚が変化していることにも気づきます。
「嫌なことを言われている瞬間」「怒りや落ち込みが生じる前の瞬間」に、体がキュッとなったり、ちくっと突き刺さるような感覚があったりします。
その感覚に気づけるようになっていくと、私たちは起こっている出来事に大きく左右されなくなっていきます。感覚を感じられる余裕が出てくると、何が起こっていても平静でいられるようになっていきます。
過去から学んだ、生き延びる術としての反射反応
この「感覚を感じる余裕が出てくると」というとどういうことなのでしょう。
私たちは、生まれてから、いやそのもっと前から、DNAとして生き延びるために不快に感じる出来事を避けるように組み込まれています。
過去に不快に感じた出来事、の過去とは、自分が生まれて以降経験したことはもちろん、自分が生まれる前、祖先が不快に感じた出来事も含めてです。
その不快な感覚を避けることは以前は必要だったことでも、今は特に問題にならないことが現在には多くあります。
そう言った不快な出来事が起こると、避けようとする。つまり、実際に起こっていることが安全かどうか吟味せずに、似たような出来事を私たち人間は避けるようにできています。
その感覚は体に記憶されています。体、つまり脳や神経的反応により、これは以前に体験した不快な感覚だと認識すると、それが何か吟味する前に、自然と避けるのです。
そのため、似たようなことが起こっているだけで、それが今回は脅威でなくても避けようとしたり、怒りを感じたり、落ち込んだりしてしまいます。
実際起きていること以上に反応する落ち込みや怒りを鎮めるために
脳や考え方ででいくらこれは安全で大したことがない、と言い聞かせても、体の感覚として記憶しているため、反射的に避けてしまうのです。実際は今は「恐怖でない」ということを、「身体で」体得していくことでこれを克服していくことができます。
これを体の感覚として、「安全」「安心」と腑に落として感じられるようにしていくため、「ソマティック」内側の感覚に意識をむけて、今実際に起こっている出来事に、過去の脅威に感じていた時の感覚を解放していくことをソマティックアプローチと呼んでいます。
実際にこれを行っていこうとすると、当時の記憶や感覚が蘇り、恐怖や怒りなどのトラウマ反応によって、実際に起こっていた感覚に近づけないことがよく起こります。
このトラウマ反応を乗り越え、トラウマ反応を引き起こした出来事の感覚の解放を実現していくのが、SE(ソマティックエクスペリエンシング)やCRM(統括的リソースモデル)、マインドフルネスであったりします。
これらについては、こちらで解説していきます。