自分を責めやすい人へー
日本社会で育つと自分を責めやすい傾向になると感じています。
日本社会に深く根付く自己批判の文化は、多くの人々の心に深い、時に修復困難な傷を残していると感じています。学校教育や家庭環境において、個人の失敗は集団全体の責任とされるし、厳しい セルフジャッジ、自己批判がそこで植えられているのかと感じています。子どもの頃から過度な罪悪感と自己否定的な思考パターンとなり、自尊心と可能性を抑圧されていると日々感じています。
私自身も、長年にわたりこの 自己破壊的なサイクルに囚われていました。子どもの頃からずっとそうだったと思うのですが、その傾向に気づいたのは、カウンセラーとして働き始めてからです。クライアントさんが思うように改善していかないと、自分の能力やあり方を疑い、徹底的に自分を責めるという悪循環に陥っていたのです。完璧主義的な思考が、私の心を縛り、専門家として成長していくことへの無力感があり、プライベートでも喜びや幸せを感じられなくなっていきました。
「なぜ私にはできないのか」「他の人はもっと上手くやっているのに」という自己否定的な内なる声は、私の精神的エネルギーを徹底的に消耗させていました。週末には疲れ果て、ほとんど寝たきりになることもありました。この状況から抜け出すには、根本的な意識の変革が必要だったのです。
人生の決定的な転機は、イギリス留学でした。自分の仕事や今後の人生について悩み、一旦カウンセラーとしての仕事をやめ、環境を変えてみました。
そこでの肯定的で多様な環境が、私の自己認識を根本から変えてくれました。異なる文化や価値観との出会いは、自分の本当の価値を再発見する素晴らしい機会となったのです。肯定的な友人たちは、私の努力を認め、成長を励ましてくれました。彼らは私の取り組みを面白がり、尊重し、私の可能性を信じてくれたのです。
思えば、抑圧的な家庭環境から、自分を解放できたのも、18歳の時に大学進学を機に実家を出たこと、そして大学で世界中からきた留学生と触れ合う機会がたくさんあり、そこで今まで自信がなく、自己否定的な部分を面白がったり、認めてくれたことからでした。
私が自己否定的な考えや性格を克服できた要因をいくつか考えてみました。
1. 自分のビジョンと目標を明確かつ具体的に設定する
2. 肯定的で サポーティブな人々と積極的に交流する
3. 完璧を求めず、成長のプロセスを楽しむ姿勢を養う
4. 必要であれば、否定的な環境から戦略的に距離を置く
5. セルフコンパッションを育む実践を取り入れたり、マインドフル瞑想を日常的に行う
6. 失敗を学びの機会として捉えるマインドセットを持てるようになった
幼少期の経験も、私の今を形作っています。母親は、私の努力を常に否定し、「できない」と決めつける言葉を浴びせかけ、父親は感情的になると暴力的な態度で接していました。これらの傷つく経験が、逆説的に、今の私の深い共感力と心理的理解力を育んだことを相談に来られる方と接するたびに感じています。
カウンセラーとしての経験から、多くの人が同様の自己批判に苦しんでいることを痛感しています。社会的期待、家庭環境、教育システムが、私たちに過度な自己批判を強いています。
自分を責めることをやめるには、あなたには無限の可能性があり、常に成長し続ける力があると、知っていくことです。誰にでもその可能性があることを、私は自分の経験やクライエントさんの変化を通して知ってきました。完璧である必要はありません。大切なのは、自分自身を愛し、受け入れ、優しく接することなのです。何ごとも小さな一歩ずつと捉えると良いでしょう。あなたにとって何が小さな一歩なのか見つけてみましょう。